津波や土砂災害など、甚大な自然災害による被害を未然に予測する数値解析技術を開発しています。そのために、独自の数値解析手法(SPHという名前の粒子法)を開発しています。粒子法は、水・地盤・固体などの物体を粒子の集合としてとらえることで、大きく変形する過程からその流動までを表現できる手法です。これまでは、地盤、水、構造物などに特化した数値解析技術を先鋭化することが主に行われてきましたが、被害の予測にはこれらすべてを統合的に扱えるマルチフィジックス計算が必要です。最先端の数値シミュレーションに挑戦してみたい方は、ぜひ一緒に取り組みましょう!
数値計算による災害予測だけなく、同じシミュレーションを機械学習などのデータサイエンス技術により、爆速にする研究も行っています。 機械学習は、大量のデータを用いて帰納的な推論を行う技術です。このため、一般的にはデータがある範囲内での予測(内挿予測)を得意としてます。ただし、災害を対象とすると、データが潤沢には揃っていない状況で、またデータのない範囲の予測(外挿予測)をすることが求められます。これを実施するには、データのみに依存するのではなく、皆さんがこれまでに習得してきた物理(Physics)の知識を機械学習へと人間が伝えてあげる必要があり、これを実現したPhysics informed Neural Network (PINN)という新しい機械学習が注目されています。機械x人間の知識を使った新しい機械学習を研究してみませんか?
パソコンでは、何日もかかっていたような大規模で複雑なシミュレーションも驚くほど短時間で実行できるようにする、HPC(高性能計算)に関する研究をしています。研究室では、NVIDIA DGX Station(最先端のGPUを搭載)をはじめとする最先端のスパコンを備えており、1.粒子法や2.機械学習によるシミュレーションを力強く支えています。また、富岳などの世界最先端の計算機を使うこともできます。プログラミングが得意な人はもちろん、「なんとなくかっこいい!」と思った人も大歓迎です!
世界最先端の研究を経験してみませんか?
都市全体の津波被害、広域の土砂災害など、スパコンを使った計算だけをしても、防災には直結しません。VR+歩行コントローラを使って、仮想空間で事前に被害を未然に体験することで、行政と一緒に被害を最小にする防災システムを構築していきます。 この歩行コントローラは日本で初めて輸入し、研究室のモニュメントとしても研究室前に飾っています。ぜひ体験に来てください!
土木実務で求められるDXと最先端の数値計算技術は乖離しており、両者の溝はさらに深まっています。これは、数値計算が高度になり3D計算が必要となってくると、計算モデル作成にかかる人的コストが増大し、実務で求められる誰もが簡易に扱える環境と逆行するためです。フォトグラメトリーは、写真のみから3D立体像を再構築する機械学習技術です。これによって数値解析モデルの生成の自動化、ひいては実務と数値計算のギャップの解消を目指しています。